ニュース
研究・繁殖・環境
2021.07.05

名古屋港水族館生まれのタイマイが初めて産卵しました

7月3日(土)、ウミガメ回遊水槽に連なる人工砂浜にて、タイマイ(個体番号:Ei03‐28)が産卵しました。産卵した個体は、現在も飼育している個体(EiW‐21)の子どもで、2003年に当館で誕生した個体です。Ei03‐28は以前から性成熟が確認されており、飼育員一同繁殖を待ち望んでいました。当館で誕生したタイマイが産卵したのは、初めてのことです。卵は掘り出し、別棟のカメ類繁殖研究施設の人工ふ化場の砂中に埋め戻して、約2ヶ月後の誕生を待ちます。

1 産卵日時  2021年7月3日(土) 午後11時47分頃
2 産卵個体  個体番号:Ei03‐28 甲長:78.9cm 体重:52.1kg
3 産 卵 数   49個

今回産卵したタイマイ(個体番号:Ei03-28)

卵の掘り出しの様子

タイマイ

タイマイは、ウミガメの中で最も熱帯性が強く、大西洋中央部、インド洋、太平洋の熱帯、亜熱帯域のサンゴ礁などに分布しています。甲羅は綺麗なまだら模様になっており、古くからべっ甲細工の原料とされてきました。雑食性で何でもよく食べるため、水族館ではアジやイカ、貝などを与えていますが、自然の海ではサンゴ礁にあるカイメンの仲間を好んで食べています。タイマイは、名古屋港水族館で屋内施設としては世界で初めて1998年に産卵・ふ化に成功しました。

 

【ウミガメ担当飼育員のコメント】
当館としても9年ぶりとなるタイマイの産卵ですが、今回はそれ以上に特別な意味がある産卵となりました。産卵したタイマイ(個体番号:Ei03-28)は2003年に当館にて生まれた繁殖個体で、生まれてから18年経って初めて産卵したことになります。年齢のわかっているウミガメが産卵すること自体、事例が少なく、絶滅の危機に瀕しているウミガメ類の成熟に関するデータとして貴重な事例と言えます。