九死に一生
グランドオープン間もないサンゴ礁大水槽、その主役といってもいいシノノメサカタザメですが、実は“九死に一生”体験をしていました。

去る1月22月の午後にいつもと変わらずイカやワタリガニなどの餌をたいらげたシノノメサカタザメですが、しばらくすると水槽内を激しく泳ぎまわりその後水槽の底でじっと動かなくなってしまいました。
ちょうど潜水作業をしていたのであわてて近づき反応をみると呼吸はしているがまったく動かない・・・・「ヤバい・・・餌のやり方がまずかったか?大変なことになったぞ・・・・」。
あわててほかの飼育員と獣医で相談して水槽に特設の担架を設置し、そこで様子を見ることに。
内視鏡で胃の中を診るも、食べたアジやイカがいっぱいで原因は特定できませんでした。
まったく状態も回復しないので夜もこのまま担架で囲い24時間つきっきりで観察をすることになりました。
日付が替わった深夜1時、シノノメサカタザメに異変が! 急に身をよじり、アジなどと一緒に白いものを吐き出しました。
なんとフグです!
表面が少し消化されていたのですが外見の特徴から「コクテンフグ」だということがわかりました。
コクテンフグは見た目こそかわいらしいのですが強いフグ毒を持っています。
おそらくシノノメサカタザメはエサの時間にたまたま近くを泳いでいたコクテンフグを間違えて飲み込んでしまって、毒で体がしびれてしまったのでしょう・・・・
今まで魚がフグを食べて動けなくなったという話は聞いたことがありませんし。
その後シノノメサカタザメは3~4日ろくに動けないながらも徐々に回復し、今ではすっかり元気を取り戻しエサのカニやイカを食べています。
完成したばかりのサンゴ礁大水槽の主役シノノメサカタザメ、九死に一生体験をしていましたが、飼育係も息が止まってしまうような気分でした。