研究・繁殖・環境
2020.05.25
ウミガメの繁殖研究
交尾
ウミガメの繁殖行動は2〜3月にみられる交尾から始まります。この時期になると飼育員は水槽に取り付けられた高感度カメラの録画映像をチェックします。
日中に交尾が行われているときは水槽の前に張り付いて、確実に交尾が成功しているか確認することもあります。
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交尾の様子
産卵
水族館では4月下旬〜7月にかけて産卵がみられます。ウミガメは1回に約100個産卵します。
ウミガメ回遊水槽の砂浜で産卵された卵は翌日に掘り返し、カメ類繁殖研究施設の人工ふ化場へ埋め戻して管理します。
卵を上下さかさまにしてしまうだけで発生が止まることもあるので、卵の上に印をつけて取りだすようにしています。

埋め戻しから這い出しまで
爬虫類の多くは温度によって性別が変わります。アカウミガメの場合は29度より高温になるとメスに、低温になるとオスになる割合が多くなります。人工ふ化場は29度に設定してあります。
産卵から約2カ月後、子ガメたちは一斉に砂の中から這い出してきます。這い出しは、外敵の少ない日没後から日の出前に多く見られます。
這い出した子ガメはしばらくは餌を食べなくてもお腹の中の卵黄で生きていけます。そのため、子ガメたちには這い出してから1週間経ってから与えています。
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子ガメたちの這い出し
放流、卵の野生復帰
1995年にアカウミガメが初めて産卵して以来、約14,000個の卵が得られ、そこから約8,700頭の子ガメが誕生してきました。
ほとんどのアカウミガメは、放流会や回遊経路を調査するために発信機を取り付けての放流を行ってきました。
2008年からは当館で産卵されたアカウミガメの卵の一部を本種の産卵地である愛知県豊橋市表浜海岸へ移植し、自然孵化させる試みを行っています。

アカウミガメの放流