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研究・教育普及 RESEARCH & EDUCATION

2025.02.20 研究

飼育下鯨類の健康管理に関する論文が掲載されました。

名古屋港水族館で飼育しているベルーガにおけるプレバイオティクス(腸内細菌叢を善玉菌優位な環境にする食品素材)投与による健康管理を目的とした研究結果が学術誌に掲載されました。

論文タイトル Administration of 1-kestose to beluga reduces intestinal Turicibacter and collagenase gene levels, and blood creatinine levels.
ベルーガにおける1-ケストース投与による腸内Turicibacter属細菌、コラゲナーゼ遺伝子、および血中クレアチニン濃度の改善効果
著者 Tadashi Fujii, Takashi Kamio, Yuichiro Akune, Hideaki Takahashi, Nobuhiro Kondo, Kohei Funasaka, Eizaburo Ohno, Yoshiki Hirooka, Takumi Tochio

※下線太字が名古屋港水族館((公財)名古屋港振興財団)職員
※藤田医科大学との共同研究

掲載誌 The Journal of Veterinary Medical Science, 87(2): 152–159.
https://doi.org/10.1292/jvms.24-0131
論文概要 近年、飼育下の海洋哺乳類の健康管理が重視されています。本研究では名古屋港水族館で飼育しているベルーガにおいて、プレバイオティクスである「1-ケストース」が腸内細菌叢や健康全般に及ぼす影響を調査した。3頭のベルーガに8週間、1-ケストースを投与した結果、病原性を持つ可能性があるTuricibacter属の細菌の量と、その病原性因子遺伝子であるコラゲナーゼ遺伝子のレベルが有意に減少しました。また投与前まで基準値を超えていた血清クレアチニン値も低下しました。本研究の結果から、1-ケストースの投与がベルーガの健康と福祉を向上させる可能性が示されました。
名古屋港水族館で飼育展示しているベルーガ