2025.03.12 研究
飼育下のタイマイの繁殖生理に関する論文が掲載されました。
名古屋港水族館で飼育しているタイマイの繁殖行動とカルシウム代謝の機構を解明することを目的とした研究結果が学術誌に掲載されました。
論文タイトル | Reproductive Parameters and Changes in Blood Levels of Steroid Hormones and Minerals in the Hawksbill Turtle Eretmochelys imbricata in an Aquarium 水族館におけるタイマイの繁殖パラメータと血中ステロイドホルモン及びミネラルの変化 |
著者 | MASANORI KURITA, TOMOMI SAITO, YUKA KAKIZOE, HITOSHI OKAMOTO, TAKASHI KASUGAI, KOUHEI KURODA, AHRUMI TAKINO, KEITO TSUNODA, MAKOTO URATA, HAJIME MATSUBARA, TATSUYA SAKAMOTO, JUN HIRAYAMA, AND NOBUO SUZUKI
※下線太字が名古屋港水族館((公財)名古屋みなと振興財団)職員 |
掲載誌 | CURRENT HERPETOLOGY, 44(1):37-48 https://doi.org/10.5358/hsj.44.37 |
論文概要 | タイマイは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種(Critically Endangered)」に位置付けられており、生息域と飼育下での保全が必要とされています。 タイマイの繁殖技術を確立するためには、飼育下での繁殖パラメータや行動、さらに卵を産むための生理的変化を理解することが重要です。この研究では、2003年から2007年にかけて、名古屋港水族館で飼育されていたオス(5頭)およびメス(3頭)のタイマイの交尾行動を観察すると同時に血液を定期的に採取し、血中のカルシウムやステロイドホルモン濃度を測定しました。 メスの1頭は、他の個体よりも繁殖活動が活発で、オスはこのメスに対して頻繁に交尾行動を示し、このメスは2003と2005年に産卵しました。 17β-エストラジオールおよびプロゲステロン(P4)の血液中の濃度はメス3頭で年間変動を示しましたが、血中のカルシウム濃度は、産卵したメスのみで変化がありました。産卵したメスで排卵後にプロゲステロン(P4)の急激な上昇に続いて、カルシウム濃度が上昇する現象が見られたため、この現象は卵殻の形成に関与している可能性が高いと考えられました。 |

名古屋港水族館の人工砂浜で産卵するタイマイ