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水族館の活動 ACTION

2024.03.18 調査

名古屋港のスナメリ調査

スナメリ調査について

名古屋港水族館のある名古屋港は総取扱貨物量や輸出額が日本一の総合港湾です。周囲のほとんどを人工の護岸で囲まれ、工場や発電所、倉庫などが立ち並んでいます。一方で西側にはラムサール条約登録湿地の藤前干潟が広がり、港内には多くの河川が流入する自然豊かな一面もあります。そんな名古屋港の海には「スナメリ」というイルカの仲間がやってきます。スナメリは体長2メートルに満たない、小さなイルカの仲間です。体の色は明るい灰色で、背びれがなく、口先が丸いのが特徴です。スナメリが名古屋港にやって来ることは以前から知られていましたが、その生態についてはよく分かっていません。スナメリは名古屋港にいつ、何をしに、どのくらいの数がやってくるのでしょうか?名古屋港水族館では東海大学海洋学部 吉田弥生助教・京都大学東南アジア地域研究研究所(野生動物研究センター兼担)木村里子准教授・名古屋ECO動物海洋専門学校と協力し、名古屋港にやってくるスナメリの生態調査を行っています。

(左)名古屋港で撮影されたスナメリ (右)製鉄所の前にいるスナメリと海鳥の群れ

目視調査

目視調査では、船で名古屋港を巡りながらスナメリを探す調査と、ポートビル展望台から探す調査を行っています。スナメリを見つけたときには、発見した頭数を記録すると同時に、行動も観察しています。これまでの調査で、スナメリは冬から春にかけてやってくること、名古屋港の中で餌を食べていることがわかってきました。冬の船での調査では、2時間の調査で96頭ものスナメリを発見したこともあり、高い密度で生息していると考えられます。多くのスナメリがいる時期には、カモメやカワウなどの鳥たちと一緒に魚を追っている様子がよく観察されます。ポートビル展望台からは魚の群れを追いかけて食べる様子も観察することができます。スナメリの来る数は年によって様々で、来る時期も年によって少し違いがあります。この違いの原因は水温なのか、気温なのか、それとも他の生き物たちとの関係なのか?今後も長期に渡って調査を行い、まだまだ分かっていない名古屋港にやって来るスナメリの謎を解き明かしたいと考えています。

目視調査の様子と月別の1回の調査あたりの平均発見頭数

(左)船での目視調査の様子 (右)月別の1回の調査あたりの平均発見頭数

音響調査

目視調査で多くのスナメリを発見していると紹介しましたが、スナメリは背びれがなく、体の色も目立たないので、実は目で見て発見するのは難しいです。そこでスナメリの出す音を検出する特殊な機械(A-tag)を用いる音響調査も行っています。スナメリを含むイルカの仲間は魚を探したり、障害物を避けたりするのに超音波を使っています。その超音波を検出して数えることで、スナメリがいつ、どのくらい名古屋港に現れるのかを調査することができます。以前の調査では名古屋港の出入り口にこのA-tagを設置して、出入り口を通過するスナメリの調査を行いました。ここでも目視調査と同じように、冬から春にかけて多くのスナメリの音が記録されていました。現在は水族館の前で観測を継続しています。

A-tagとその設置の様子

(左)海に入れるA-tag(音響調査機器) (右)高潮防波堤の前に設置して名古屋港への出入りを調べました

教育活動

水族館ではスナメリのことを知ってもらうために、館内にスナメリコーナーを設置して情報発信を行っています。また小学校での出張授業を行ったり、図書館や博物館での講演会や地域のイベントに参加したりして、スナメリについての普及活動を行っています。また市民の皆さんと一緒にスナメリを観察するイベントも行っています。スナメリのことを調査して知るだけでなく、市民の方々に伝えることも水族館の大切な役割のひとつです。

館内のスナメリコーナー

水族館内のスナメリ展示コーナー

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