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水族館の活動 ACTION

2024.03.18 種の保存

繁殖の取り組み(極地ペンギン)

ペンギンの飼育を持続するために

動物園や水族館で飼育されているペンギンたちはどこから連れてきたのでしょうか。野生のペンギンを捕まえて日本へ連れて来る?大元をたどると確かにそうかもしれませんが、現在日本の動物園や水族館で飼育されているペンギンの多くは国内で繁殖した個体です。現在では数が減ったからと言って再び野生からペンギンを捕えてきて補充することはまずありえません。そのため動物園や水族館で繁殖させ展示を維持していく必要があります。名古屋港水族館では毎年のようにジェンツーペンギン、アデリーペンギン、ヒゲペンギンの3種が繁殖に成功しており、これまでに3種合計で300羽を超えるヒナが産まれています。数が増えているなら水族館で維持できる。めでたしめでたし・・・となればいいのですが、そんなに簡単ではありません。ここでは名古屋港水族館で行われているペンギン達をこの先何年も残していくための工夫を紹介します。

数が増えるだけではダメ

展示を維持するために数を増やす事はとても重要です。しかしペンギンを長期的に飼育していくためには数だけでなく遺伝的多様性を維持していく必要があります。名古屋港水族館では毎年のようにヒナが産まれていますが、実際には同じペアの子供が毎年のように孵化しているのが現状です。その一方で、全く繁殖に成功していないペンギンがいます。この状態が続くと近い将来全てのペンギンが血のつながった兄弟ということになってしまう可能性があります。血のつながりの濃いもの同士で繁殖を繰り返していると体の弱い個体が生まれやすくなることが知られています。そうならないためには可能な限り均等に子孫を残していく必要があります。つまり多くの血統を残す=遺伝的多様性を維持していくためには繁殖に成功していないペンギンの子孫を残していく必要があります。また飼育スペースにも限りがあるため、過密になってしまうと巣の取り合いなどがおこり、せっかく産まれた卵がケンカによって割れてしまう事もおこります。こうなると子供を残したいペンギンの繁殖がさらに難しくなってしまいます。

ジェンツーペンギンの親子。足元にいるのが生後21日のヒナ。この親はこれまでに4羽のヒナを育てています。一方で繁殖に成功していないペンギンもいます。

パートナー作りに協力します

繁殖が上手くいっていないペンギンの中にはペアを組めないペンギンがいるため飼育係が積極的にパートナー作りに協力します。例えばあるメスでは、ちょっと奥手の性格のためか、気に入ったオスがいてもそこまで積極的になれずにペアになれないといった事がありました。そういったメスがペアを組めるように、そのメスが気になっているオスとペアを組もうとする他のメスを次から次へとバックヤードの水槽に移動しました。晴れて繁殖させたいメスがお目当てのオスとペアになるまで続けます。ある年にはどうしても繁殖させたいメスを一羽のみ繁殖スペースに入れて、オスをたくさん残し「好きなオス選びたい放題」という方法をとりました。無事にそのメスはお相手を見つけてカップルとなりました。

繁殖を制限しよう

毎年上手に繁殖に成功しているペアの繁殖を制限することもあります。水槽内という限られたスペースの中ではどうしても過密になってしまい繁殖をさせたいペンギンのスペースを確保できなくなってしまうからです。繁殖を制限するというと物騒に聞こえるかもしれませんが、名古屋港水族館で飼育しているジェンツーペンギン、ヒゲペンギン、アデリーペンギンは幸い巣材の石を用意しなければ産卵まで至りません。そこでバックヤードにある繁殖用の巣材が無い部屋にペンギンを移動することで繁殖をしないようにしています。

バックヤードにある水槽。写真には写っていませんが左にはプールも設置されています。巣材となる石を用意していないためかここでは繁殖しません。

繁殖が上手くいっていない原因を探ろう

ペアができても繁殖がうまくいかないことがあります。これまでの繁殖の失敗原因を調べてみたところ抱卵中のアクシデントによって卵が割れてしまうことや、ヒナが産まれても孵化して数日の間は親に踏まれてしまうなどで死亡率が高い事がわかっています。そういったデータを元に卵が割れないように孵卵器に収容したり、ヒナがある程度大きくなるまでは飼育係が育てたりするなどの対策をしています。

まだまだ試行錯誤の最中で順調にいっているわけではありませんが、少しずつ繁殖が上手くいかない理由がわかってきています。将来的には繁殖を計画的に進められる技術を確立し健康的なペンギン達を将来にわたって飼育できるよう努めていきます。

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