2024.05.10 調査
名古屋港ガーデンふ頭での生き物調査
名古屋港ガーデンふ頭の水棲生物調査
名古屋港ポートビル、南極観測船ふじや名古屋港水族館などの施設がある名古屋港ガーデンふ頭(以下ガーデンふ頭)。ここは大都市名古屋の憩いの場所として多くの方に親しまれています。ガーデンふ頭は名古屋港の一番奥に位置していますが、この水辺も「海」として伊勢湾や太平洋につながっています。
名古屋港は汚れた海のイメージがあるかもしれませんが、プランクトンから海生哺乳類まで様々な生物が生息しています。名古屋港水族館では1992年の開館以来、ガーデンふ頭の水辺で見られる水棲生物を記録してきました。クラゲ類・甲殻類・軟体動物・魚類など現在約180種を確認しています。
採集された生物は調査だけでなく水族館内で展示もしています。
ガーデンふ頭の主な生物
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外来生物
名古屋港の岸壁には外来生物の二枚貝やフジツボの仲間がびっしりとはりついています。ミドリイガイ、ミナトオウギガニ、ハクライオウギガニ、チチュウカイミドリガニ、ウスカラシオツガイ、コケムシ類の一種など、調査開始後に新たに確認された外来生物も少なくありません。外来生物だけに限りませんが、むやみに生物を移動させないよう注意する必要があります。
にが潮(青潮)
水質が改善されつつある名古屋港ですが、依然として富栄養な状態のため赤潮の原因となるプラントンが多い状態です。そのプランクトンの死骸などが沈殿する底層付近は夏の高水温期を中心に酸素が非常に少なくなり(貧酸素状態)、多くの生物は生きていけません。また、台風通過後の強風などにより底層の海水が表層に現れるとにが潮(青潮)と呼ばれる状態になり、貧酸素や硫化水素の影響を受けた魚類やエビ・カニ類が弱って水面に浮上したり、死亡したりすることがあります。
今後のガーデンふ頭
私たちがガーデンふ頭で見たことのない生物はまだまだいるに違いありません。望まれない外来生物ではなく、棲んでいて当たり前の生き物が少しでも増えることを期待しつつ、これからも私たちの街の海を調査していきたいと思います。