特別展「飼育係、南極に行く」の見方 「ROV(Remotely Operated Vehicle)」編
昭和基地では、2月1日に越冬交代式が行われ、基地の管理担当が第65次越冬隊から第66次越冬隊に交代しました。「しらせ」は既に昭和基地を離岸し、海洋観測を行いながら帰路オーストラリア・フリーマントルに向かっています。
私が南極に行った第65次隊では、ペンギンチームがペンギンの営巣地前の海にROV(Remotely Operated Vehicle) 遠隔操縦探査艇に潜らせて海中の調査を行いました。
その時の様子はこちらのWEB記事に詳しく書かれています。https://www.editus.jp/topics/rensai/nankyoku
南極でペンギン調査に使われたROVの実機を開発元の東京海洋大学、開発者の第65次南極地域観測隊後藤慎平隊員(東京海洋大学助教)の協力を得て、1月25日から特別展で展示しています(展示場所は南館3階「南極の海」)。
第65次南極地域観測隊でペンギン調査に使われたROV実機
さらに、今回特別に第59次隊で湖沼調査のために使われたROVの実機も東京海洋大学、後藤隊員(第59次隊でも同行者として南極観測に参加)の協力を得て、展示をしています。
昭和基地周辺の海や湖沼は水面が氷に覆われていて、ダイバーが安全に潜水するのは難しく、また低水温のため長く潜っていることは出来ません。このような環境下では遠隔操作で無人のROVはうってつけです。
第59次隊での成果はこちら。
https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20180522.html
ただし、海氷の隙間からエントリーをさせるための小型化や低温に対する耐久性など開発には様々な試行錯誤が重ねられています。開発者や観測隊員たちが苦労を重ねて南極の水中に潜らせたROVの実機を見て、南極の水中という過酷な状況での観測に思いをはせてみてください。
南極調査用ROVを開発し、現地で操縦した東京海洋大学後藤慎平助教(第59次隊同行者、第65次隊隊員) 特別展ROV展示コーナーにて
飼育展示第一課 松田 乾