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2025.06.27 その他

名古屋港水族館と海洋ごみ ~その④~

水族館周辺は気持ちの良い散歩コースなのです

名古屋港水族館の海辺にはプロムナード(遊歩道)が設置されていて、水族館だけではなく、海や港の風景を楽しんだり、風を感じたりすることができます。来館された際は、ぜひこちらもゆったり歩かれて、彼ら水族が本来生活している環境とつながっている海を体感していろいろ思いをはせていただければと思います。

このプロムナード、基本的には港の岸壁沿いにあります。観覧車を、そして水族館メインプールのスタジアム(観覧車右の大きな建物)の裏側もまじかに見る(見上げる)ことができ、少し足を延ばせばポートビル(観覧車左の高い建物)まで歩くこともできます。そして、一部では、その海側に石積み防波堤が施されています(中央の海岸沿い)。この石積み防波堤、瀬戸内海の漁師町で育った私にとってはまさに原風景で、当時はそこが遊び場で、魚釣りなどをして過ごした場所です。ただ、進学等で故郷を離れた後は防波堤遊びからも遠のき、水族館近くでは安全上の問題もあり立ち入り禁止となっているので、ますます自分の生活からは離れた、頭の中の楽しい日々の1ページとなっていました。

先日、水族館の同僚から海洋ごみが大量ですと聞き、その防波堤をなんとなく覗き込んだところ驚きました。隙間にペットボトルなどがそこかしこに挟まっていました。以前のコラムにも書きましたが、私が子供のころにはペットボトルなどはありませんでした。記憶は美化されるものかもしれませんし、当時もなにがしかの物は隙間に挟まっていたかとは思いますが、現実は厳しく悲しいものでした。

一見石積み防波堤に海洋ごみは無いように見えます。

近くで見ると悲しい現実が。

風景の一部のようにペットボトルがころがっています。

この隙間だけで9本のペットボトルが引っ掛かっていました。
現場を管理している機関に立ち入り許可を取り、同僚と二人でペットボトルの回収を行いました。拾い上げる度に頭に思い浮かぶのは、これらはどこから来たのだろう、ということです。海洋ごみのほとんどが陸地由来のものといわれています。

海岸は多かれ少なかれ管理されています。安全上の問題から立ち入りを禁止されているところもあります。ヒトが管理をしている港はそのようなエリアがほとんどです。ですが海洋ごみは場所を選びません。潮の流れに、風の力に翻弄され海を漂い時には漂着します。それらを清掃により除去することは大切だとは感じますが、清掃活動は、どうすればそこに来なくなるのかを考える、そして自分にできることを考えるきっかけになるのだと切に感じます。

私が拾い上げたペットボトル、その前には違うヒト人の手に握られていました。そのヒトは、まさかこんな石積み防波堤の中で海洋ごみとなっているとは微塵も想像できないでしょう。ぽい捨てならいざ知らず、そんな意識がないヒトの手から来たものだとなおさらでしょう。

この日は二人で30分という時間を決めて取りかかったのですが、あっという間に回収袋がいっぱいになってしまい、そちらの理由で早く終わってしまいました。

私は想像以上の量に驚きましたが、同僚は思ったより少なかった、という感想でした。荒天の後の防波堤にペットボトルが累々とコロコロ打ち上げられているのを見ているそうです。その時のペットボトルたちは、どこに旅立ってしまったのでしょうか。

学習交流課 吉井