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スタッフコラム COLUMN

2025.07.20 その他

名古屋港水族館と海洋ごみ ~その⑤~

近隣の水族館と合同で海洋ごみの清掃を行いました。

水族館周辺の海洋ごみの清掃を始めてから、道端、草むら、近くの小川に落ちているごみに目が行くようになりました。

先日は飼育係の海岸調査採集に同行し、彼らが調査している間、海岸のごみ拾いをしていました。水族館の飼育係としては決められた時間(潮位)で有効な活動を行う必要があり、調査採集と海洋ごみ清掃を同時に行うことはなかなか困難なのです。

そんなおり、アクア・トトぎふの方から、お誘いが来ました。「7月中旬にシーライフ名古屋さんと合同でごみ清掃作業を行います。一緒にやりませんか?」普段から水族館同士は水族(生物)の情報交換等でつながりは密接です。また、研究会等で顔を合わす機会も多々あります。とはいえ、自分たちの調査フィールドのごみについて話題になることはあまりありません。こうしたテーマでのお声がけは貴重です。どこまで戦力になれるかどうかはさておきですが、普段とは違った目線での意見交換も含めて参加させていただくことにしました。
場所は揖斐長良川の河口の干潟です。それぞれの施設がある濃尾平野ということも意欲を搔き立てたのかもしれません。

いつもはインドアでお会いするメンバーですので、屋外での集合は気持ちが新鮮です。簡単な打ち合わせ後作業開始。

当日も真夏並みの気温予想。これだけ広い場所、今回では終わらないから、と自分に言いくるめてゆっくり作業をすすめます。とはいえ、片手間に訪れることができる簡単な場所でもないので、ついついあせりが・・・禁物です。いかに自分のペースを保つことができるか、というのが一つのテーマなのだと気がつきます。気づいたあとは、全体に目配りができるようになり、それぞれの居場所もなんとなくわかるようになりました。

高さ2m程度のヨシの群落(ヨシ原)は、中から小鳥の声も聞こえ、足元はクロベンケイガニ等がそこかしこに走りステキな風景が続きます。ですがひとたび足を踏み入れると、横の視界は全く利かず(5m程度)、風も通らず、さっきまでの音がシャットアウトされて、葉っぱがこすれる音とぬかるみを歩く自分の足音だけの世界になります。

赤い丸のところにスタッフがいますがじきに見えなくなります。獣道すらない異空間です。

持ち物(装備)として、「胴長」(胸まである長靴のイメージ。飼育係のマストアイテム)をすすめられた理由がわかりました。

現場はいわゆる泥の干潟で、長靴では沈み込んでしまい、安心して作業ができません。私は長靴でチャレンジしましたが、泥に足を取られて行動範囲が狭められます。底なし沼とまでは言いませんが油断は禁物です。

そんな中にも海洋ごみは容赦なく転がっています。水族館周辺の海洋ごみと種類が異なり漂流ごみに加えて、いわゆる「生活ごみ」が目立つ気がします。それらが泥を含んでいるので、想像以上の重さになっています。

ともすれば折れそうになる心ですが、ふとした拍子に近くにいる人と目が合うとどちらからともなく笑顔を交わします。初対面の方が多かったのですが、同じ目的で行動している同士、その笑顔に元気づけられます。

あっという間に終了時間がきました。とはいえ海洋ごみが無くなったわけでは決してありません。

それでも、目の前のごみの袋の中は、さっきまでヨシ原の中にあった海洋ごみです。少なくともこれだけは収集することができました、これも事実です。

そしていつものことなのですが、これらはどこから来たのだろう、これらが少しでもここに来ないようにするにはどうすればよいのだろうと自問しながらの作業でした。

最後は全員の無事をたたえあい、フィールドでの再会を約束し、笑顔で終了となりました。

学習交流課  吉井