2025.07.26 その他
タッチタンクのより良い飼育環境を目指して
タッチタンクに沈んでいるこちらのプラケース、何をするためのものでしょう?
正解は、給餌(エサやり)のための重要アイテムでした!
魚用のペレット(配合飼料)や
アミエビなどのエサを小石や砂に隠しています。
エサのペレットをまいただけの場合
ボラがすぐさま水面で食らいつき
他の魚やヤドカリに行き届く前に、一瞬にしてほぼなくなります。
砂や小石に混ぜて沈めた場合
すぐにはエサに気づかず、気づいてからも時間をかけて探します。
この方法で給餌をするようになってから、
ボラはエサがない時間でも、砂地で探索する姿を多く見せてくれるようになりました。
水底の石や岩、砂に付いた藻類や
他の生き物の死骸や排泄物などを由来とした、細かな有機物などを摂餌する雑食性のボラ。
本来自然界で見られる行動が増えて心の中でガッツポーズです。
(ちなみにヤドカリも中に入れるよう、石で階段も作ってあげています。)
本来の行動を引き出せるように、かつ、みんなに餌がいきわたるようにという工夫をしています。
より気を遣っているのは、生き物観察会での主役たち、ヒトデ、ナマコ、ウニです。
<あなたはだあれ?|研究・教育|名古屋港水族館ホームページ<公式>>でご紹介したように、イトマキヒトデでは個体識別を行い、個体別に餌への反応をチェックしています。
ナマコには海藻粉末を海水で溶かしたものを砂にまいて与えています。
ナマコは砂の中の有機物を食べます。
触手を使って砂ごと口に運び、きれいになった砂をうんちとして排泄します。
エサを食べたかどうかを確かめることが困難なため、
ヒトデと同じく個体識別を行い、毎日排便(うんちが出ているか)と口から触手を出して採食行動をしているかをチェックしています。
(うんちと採食行動の写真は砂うどん|研究・教育|名古屋港水族館ホームページ<公式>をぜひご覧ください!)
ウニには1匹ずつ手渡ししています。
海藻を確保することが難しいため、代替品としてレタスや小松菜などの野菜を用意しています。
日々観察を続ける中で、野菜だけでは栄養が足りないのではないかと考え、
野菜だけでなくオキアミやイカなどの動物性のものも与えています。
飼育係はみんな、生き物たちがどうやったらより幸せに、より快適に過ごせるかを常に考えながらお世話をしています。
普段から行動観察を行い、生き物たちの状態を見極めながら様々な工夫をしています。
特にエサへの反応を注意深く観察することは、彼らの健康状態を推測するための重要な判断材料ともなります。
生き物たちの生き生きとした姿をお客様に見ていただけるように
生き物たちにとって少しでも良い環境を整えてあげられるように
これからも試行錯誤を続けていきます!
学習交流課 須原菜穂子