海洋ごみ清掃はいろいろことを教えてくれます
先日、当館では初めてとなる『一般の方を募っての海洋ごみ清掃イベント』を実施しました。当初、「ただの清掃作業で人が集まるのか?」という声も身内から上がり、若干弱気になることもありましたが、募集をかけると5日で定員(20名)がうまりました。
当日は清掃日和。水族館前の広場に集合し、まずは準備体操。おそらく普段とは違った姿勢をとることが多くなりますのでストレッチを入念に行います。
続けて海洋ごみ清掃の方法の説明。今回は、「ヒトが作り出したごみ」を回収します。木の枝や葉っぱは対象外です。各自の清掃の担当場所(効率よくするために)を事前に割り振ります。清掃場所は水族館西側の石積み防波堤です。みなさん、手には日本水族館協会からいただいた軍手(漁網由来原料使用)をはめ、左手にはやはりいただいたごみ袋、右手には武器となる火ばさみをもって担当場所に散らばります。ひとりごみ袋(30㍑)2袋を目安にスタートです。みなさんが回収するごみのほとんどはやはりプラスチック製品です。ペットボトル、ポリ袋、食品トレーの切れはし、梱包用のPPバンド・・・それぞれのごみ袋がみるみる膨らんでいきます。
途中で愛知県の警察の船も通りかかり、「ありがとうございます!」と声をかけていただきました。思わず私は手を振り返したのですが、参加者の方たちは黙々と海洋ごみと向き合っています。ここを散歩コースにしている人からも労いの声をいただきます。
想定通り30分弱であらかたの方のごみ袋もいっぱいになり終了です。みなさんが回収した海洋ごみと記念撮影。
そして、参加された方には水族館ならではの、水族と海洋ごみについてのレクチャーを聞いてもらいました。今回は清掃場所の近くでも観察することができるスナメリと、海洋ごみの誤食等が見つかっているウミガメについてです。
今回のイベントの目的は海洋ごみを無くすることではありません。そんなことはとても不可能です。参加されたみなさんに海洋ごみの現実を見てもらう、そして自分の体を動かして実際に海洋ごみの回収を行う、それらがどこから来て(ほとんどが陸からですが)海を漂っているのか気づいてもらう、それらと海で暮らす水族の関係に気づいてもらう・・・。これらから何かに気づいてもらうきっかけ、考えるきっかけ、行動を起こすきっかけ、を提供することが目的でした。
イベント後みなさんにアンケートを書いていただきました。以下に一部をご紹介させていただきます。
『自分が関わることで関心も興味もわきますし、今後の行動にもつながる本当に良いキッカケになったと感じます』
『個人でできることもまだたくさんあることにも気づくことができました。』
『自分が気をつけるのはもちろん、地域の清掃活動にも積極的に参加したいなと思いました。』
『今日学んだことを伝えてみたりして一人でも多くの人に海の生き物やごみについて考えてもらう・・・』
等々、私たちの思いが伝わったイベントになったのではないかと思います。
短い時間ではありましたが、実りのあるイベントになったと思います。
学習交流課 吉井