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スタッフコラム COLUMN

2025.12.24 その他

はじめての海洋ごみ清掃!

皆さん、「海洋ごみ」を実際に見たことがありますか?

海洋ごみ問題をよく耳にする一方で、実際の様子を自分の目で見たことがある方は意外と少ないのではないでしょうか。私もそのひとりでした。

先日「他の水族館と合同で海洋ごみ清掃を実施するが行かないか」と声がかかり、初めて参加させてもらうことになりました。一度は体験したいと思っていたので当日はとてもワクワクしながら現地に向かいました。

今回清掃を行った場所は三重県桑名市、揖斐川と長良川が合流した河口にある河川敷です。前回は7月ごろに行っており、今回は約半年ぶりの開催でした。

人の身長よりも高いヨシの群落が生い茂っている河川敷に足を踏み入れ、いざ清掃開始です!

ご覧の通り、河川敷はとても広いです。時間内には到底清掃しきれないためごみが特に集中している場所を見つけ、ひたすら拾いまくります。

まるで探検!テンションが上がり、夢中で草をかき分けごみ探しをしている私です。(笑)

獣道すらもない場所を草をかき分け進みます。

大量のペットボトル・空き缶・プラスチックごみが流れ着いているごみの山を発見!この場所を清掃するだけで数分もたたず30ℓのごみ袋が何枚もいっぱいになりました😢

ゴミの量の多さに驚愕し、「なんでこんな物を捨てるんや!ゴミ箱に入れるだけでいいのに…」とプンスカしながら拾っていました。(笑)

なかなか大変な作業でしたが、ごみ袋が貯まってくると達成感がありました。

当日は今シーズンで一番の寒波が来ており風がとても冷たかったのですが、草が風をシャットアウトしてくれたため、快適な体感温度で清掃に取り組めました。

この写真のように、泥の湿地になっている場所もあり、拾おうとズンズン進んでいくと足を泥に掬われ動けなくなってしまいます。さらに、落ちているごみは泥を含んで重たいため、拾ってごみ袋に入れるのも一苦労でした。

ちなみにこんなことも。
ごみを拾っているとなにやら生物の痕跡を発見!
(中央に落ちているのはレジ袋の破片です)

手を止めて少し観察をしていると、近くにカニがいました!(おそらくベンケイガニ)

海洋生物が住んでいる真横にごみが落ちているという事実に胸が痛みました。

30ℓのごみ袋が70枚以上パンパンになるほどの量!

1番多かったと感じたのはペットボトルでしたが、エナジードリンクやお酒の缶、馴染み深いコンビニエンスストアのパッケージのプラスチックごみなどもたくさん落ちていました。

今回はわかりませんでしたが、10年ほど前のペットボトルが落ちていることもあるそう。今日回収できなかったペットボトルが10年後の未来に影響するかもしれません。
私が飼育を担当しているケープペンギンは、絶滅危惧を表すレッドリストの評価が上がり、10年後には野生では見られなくなるかもしれないといわれています。数が減っている原因のひとつに生息地であるケープタウン(南アフリカ共和国)周辺の環境破壊が挙げられており、大量の海洋ごみが流れ着いているようです。

海は繋がっています。今回拾ったごみはどこからやってきたのか。これを放置しているとこのごみはさらにどこか違うところに流れ着いてしまうのだろうか。他人事ではないと強く感じ、もっとこの現状を発信していかないといけないなと感じました。

清掃活動は、ひとりはもちろんみんなでやると楽しく、いい運動にもなるのでより多くの世代にぜひ実践してもらいたいなと感じました。そうなれば子どもだけでなく私たちを含む多くの世代にも現実が広まり、自然と清掃活動ができるようになると思います。

もしこのコラムを読んでくださっている皆さんも少しでも興味があれば、ぜひ身近な場所でごみ拾いを体験してみてほしいです。意外と楽しいですし、自分の目で現状を見てみると、きっといろいろ考えるきっかけになりますよ😊

飼育展示第三課 杉浦