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2026.04.19 その他その他

「ドゥルー女史記念祭」に行ってきました。 その1

 

名古屋港水族館南館のクラゲ展示コーナー「くらげなごりうむ」は、1992年の開館から十数年間、地元・愛知県の水産業を紹介する「愛知の水産」コーナーでした。私は開館前に入職し、このコーナーを担当しました。その中の一つの水槽では、愛知県の主要な水産物である養殖ノリを展示し、実際の養殖で使用される網を用いたミニチュアを作成して、養殖の様子を再現展示していました。

一般に食用とされるノリは、スサビノリやアサクサノリに代表される紅藻類のアマノリ類です。アマノリ類は、自然の海では秋から春にかけての水温が低い時期にしか見られません。昭和初期頃までのノリ養殖は、海中に笹や枝を立て、そこに自然に着生するアマノリ類を収穫する方法でした。アマノリ類が夏季にどこでどのように生活しているのかは長年の謎でしたが、1949年(昭和24年)、イギリスの藻類学者キャスリーン・メアリー・ドリュー=ベーカー(ドリュー博士)が、科学雑誌『Nature』において、アマノリ類が夏期には「糸状体」と呼ばれる形で貝殻に穿孔・付着して休眠していることを発表しました。この発見により、この「糸状体」を人為的に管理することで、ノリ養殖における悲願であった人工採苗が可能となり、生産量は飛躍的に増加して現在に至っています。

 

前置きが長くなりましたが、「ドゥルー(ドリュー)女史記念祭」の話です。三十数年前、水槽内でアマノリ類を飼育(栽培)するにあたり、愛知県水産試験場にお世話になっていました。その際、ノリ養殖が盛んな九州・有明海には、ドリュー博士の功績をたたえた碑があり、毎年記念祭が行われていると聞き、いつか訪れたいと思っていました。しかし、そのまま30年以上が経過してしまい、今年になってふと思い出し、休みを利用して訪問を決行しました!

 

記念祭は毎年4月14日に、熊本県宇土市の住吉神社境内にある「ドリュー女史記念碑」前で行われます。まずはこの記念碑を見学しました。熊本県は、日本で初めてアマノリ類の人工採苗に成功した地であり、ここから全国へと技術が広まりました。

海岸に突き出た小高い丘全体が神社となっており、住吉自然公園にもなっているようでした。

 

目の前は広大な有明海が広がっています。

神社の鳥居をくぐり階段を上がっていくと、山の中腹に記念碑が現れました。

事前にホームページで写真は確認していましたが、実物を見ることができ大感激でした!この日はあいにくの雨模様で、数日前に神社へ問い合わせた際、天候が悪い場合は記念祭を住吉漁業協同組合の事務所で行うと聞いていました。開始15分前になっても誰も現れなかったため組合事務所に電話したところ、やはり事務所で開催するとのことでした。見学が可能か尋ねると、「見学は構いませんが、神事ですよ」との返答でした。その言葉を受け、ちょっとした“祭り”を想像していた自分に気づきました。開始時間が迫っていたため、手早く参拝を済ませ、組合事務所へ向かいました。

その2に続く

飼育展示部 春日井 隆