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スタッフコラム COLUMN

2022.06.22 魚類

こんなところから深海魚⁉

突然ですが、深海魚と聞くとどんなイメージがありますか?
「めったに見られない」「地震の前触れ」、そんなイメージが強いのではないでしょうか。
実は深海魚は思ったよりも身近なところにもいたりします。
今回は、なんと、魚の餌として使っているアジに混じって深海魚が入っていたので紹介します!

まずはこちら。

カゴカマスという深海魚です。
アジの中にちょくちょく混じっていました。
他のスタッフはただの混じり物の魚としか認識していませんでしたが、深海魚が大好きな私は、ばっちり深海魚だと見抜いて、「おそろしく普通の魚、オレでなきゃ見逃しちゃうね」なんて思ったり。
この魚は普段深海で生活しているのですが、餌を求めて表層付近まで上がってくることもあるようです。
とても鋭い歯があり、くわえた獲物を逃さないようになっています。私もちょっと口を触ったら歯で手を切ってしまいました…

出てくる深海魚はまだまだこんなもんではありません!

お次はさらに深海魚感の強いこちらの魚!!

ハダカイワシの仲間です!!
ハダカイワシは、鱗が非常にはがれやすいため、捕まえると網などで擦れて鱗がはがれ、文字通り「裸(はだか)」になってしまうことからその名前が付いています

ハダカイワシは、深海の代表種とも言っていいような魚です。お腹には発光する器官があって光る魚で、これには私も大興奮!!

こちらの点々が発光器です。この並び方で種類を見分けることもできるのですが、ボロボロすぎて種類の特定はできませんでした…
わずかに光の届く深海では、下から見上げると魚たちの影がくっきりと見えます。小さな魚たちはその影で居場所がばれてしまわないように、上から差し込むわずかな太陽の光と同じくらいにお腹を光らせることで自分の影を消しています。
そのため、ハダカイワシを含む多くの深海生物がお腹に発光器を持っているのです。

ハダカイワシの仲間には夜になると表層近くまで上がってくるものもいます。そのため、冬には砂浜に打ち上げられることもあるのです。皆さんの近所の砂浜にもハダカイワシが打ちあがるなんてことがあるかもしれません。
砂浜で深海魚が拾えるなんてすごくロマンがありますよね!

最後に紹介するのは、本来アジに混じることは考えられない、かなりの激レア魚!

アカグツの仲間です!!
アカグツはアンコウの仲間で、深海の海底に住んでいます。
アジの中からこの子を見つけた時、大興奮でぴょんぴょん跳ねながら叫んでしまいましたw
これまでに紹介したカゴカマスやハダカイワシは夜になると表層近くまで移動するため、浅い海に生息するアジ達に混じって捕獲されるのもまだわかるのですが、こんな海底にいる魚が混じっているとは思いもしませんでした。
アカグツは以前当館でも展示していたのですが、名前の通り真っ赤な体が特徴です。

こちらが大人のアカグツです。

小さい頃のアカグツの仲間は今回出てきた子のように少し暗い色をしているようです。

普段人目につかない場所にいる深海魚たち。でも、アジと一緒に捕れることもあり、案外身近なところでも出会えるのかもしれません。
実は皆さんが回転寿司で食べる「甘エビ」なんかも深海生物なんですよ。

深海魚たちを少し身近に感じるようなお話でした。