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スタッフコラム COLUMN

2022.11.25 無脊椎動物

カイロウドウケツの展示を再開しました

薄暗い中に小さい水槽が並ぶ深海コーナーに、ようやく名古屋港水族館深海エリアの顔であるあの生物が再展示されました。カイロウドウケツです。

海底の砂面に立ち上がるように生息するこの生物は、一見動物には見えませんが、れっきとした海綿動物です。ガラス質(二酸化ケイ素)の繊維でできた骨格を持ち、内部が空洞の籠(かご)のような形をしています。内部の空洞にドウケツエビが住み着いていることがあり、その空間で一生を終えることから、夫婦仲が良いことを意味する熟語である「偕老同穴(かいろうどうけつ)」がそのまま名前になりました。

カイロウドウケツはきれいな形のまま採集することが難しく、さらに飼育も難しいため、展示している園館は多くはありません。当館ではドウケツエビの展示にあわせてカイロウドウケツの骨格を展示していましたが、コロナ下で採集に出かけることができず、ついに展示を中断せざるを得ませんでした。ところが、先日、いつも乗船させていただいている方のご好意で、数年ぶりにオウエンカイロウドウケツを搬入することができました。

生きたカイロウドウケツを見るのは初めてです。
深海エリアの飼育を担当して3年、カイロウドウケツはあっても、すでに骨格になっているものばかりでした。それでも幾何学的に絡み合う繊維質の骨格が美しく、これが生物の作り出したものなのかと見入ってしまいます。
今回は生きたカイロウドウケツ。体がふんわりと橙色に残っています。生きているとこんな感じなんですね。ちょっと感動します。残念ながらドウケツエビは入っていませんでしたが、状態の良いうちに展示しました。

元気な部分を拡大するとこんな感じ。ガラス繊維の構造がはっきりとは見えないのが本来の姿なんですね。

給餌も手探りですが、一日でも長く皆さんにご覧いただけるよう、頑張ってみようと思います。ぜひ一度足をお運びください。

※展示は終了しました。