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スタッフコラム COLUMN

2023.10.29 魚類

「なぜ…?」

皆さま、こんにちは!

名古屋港水族館の赤道の海コーナーには「サンゴ礁大水槽」という大きな水槽があります。日光の差し込むこの水槽で、ある日、潜水作業をしていた私はこちらの魚とにらめっこをしていました↓

ムラサメモンガラ

「ムラサメモンガラ」という魚で、水槽の中では水深の浅いラグーン部分によくいます。どうしてこの魚を観察しようと思ったか、といいますと…↓

ダイバーのブーツを噛むムラサメモンガラ

お分かりいただけるでしょうか?そうなのです。私の履いているブーツをガブッ‼と嚙んできたのです。(>_<)
普段はこんなに噛んでくる魚ではないのですが、今日はどうしてか何度も何度も攻撃してきます。
なぜでしょうか?私のことが嫌いなのでしょうか…?((+_+))
いいえ、実はこのムラサメモンガラの行動にはきちんと理由がありました。水槽の中を少し探してみると、近くにこんなものが出来ていたのです↓

ムラサメモンガラの卵

写真中央にモサモサとした塊があります。これはなんとムラサメモンガラの卵だったのです!
この卵を守ろうとして、近づいてくる私を攻撃していたのです。先の写真ではブーツを嚙まれていますが、手や顔にも果敢に近づいてきます。自分の安全だけでなく、魚にストレスを与えないためにも、あまり近づきすぎないように注意することにしました。

ムラサメモンガラの卵のふ化は速く、なんとその日の夕方には小さな仔魚が誕生しました↓

ムラサメモンガラの仔魚

頭の先から尾びれの先までが約1.4㎜とかなり小さいです。体のカラフルさや形は、親とは似ても似つかない姿ですね(;´・ω・)

今回誕生した仔魚たちは、残念ながらうまく成長させることはできませんでした。しかしその命を通じて改めて、生物を毎日観察することや、いつもと違う「なぜ?」を追求することの大切さを感じられる貴重な経験をすることが出来ました。

皆さまも水族館を訪れた際は是非、生き物たちの行動をじっくり観察してみてはいかがでしょうか?目の前にある様々な疑問の中に、新しい発見や出会いが眠っているかもしれませんよ!(・ω・)/