2024.12.13 館内イベント
特別展「飼育係、南極に行く」の見方 「南極と南極地域観測隊」編
前回ご紹介したライブカメラでは、昭和基地管理棟前の「19広場」(いちきゅうひろば、第19次隊の時に作られたと言われています)の除雪が進み、地面が露出している様子が見られるようになりました。昭和基地では、第66次隊を迎える準備が着々と進んでいるようです。
そして、第66次隊本隊は12月5日に日本を発ち、オーストラリアのフリーマントルで南極観測船「しらせ」に乗り換え、12月9日に昭和基地に向けて出発しました。詳しい情報はこちらをご覧ください:第66次隊ブログ
今回は、南館2階エントランスの展示についてご紹介します。
ここでは、「南極について」、「南極地域観測隊について(以下、観測隊について)」、「第65次南極地域観測隊お魚チーム隊員 松田乾(名古屋港水族館所属)の行動記録(以下、行動記録)」の3つのテーマに基づいた展示をご覧いただけます。
「南極について」と「観測隊について」のパネルは、それぞれ1枚のみで内容を最小限に抑えています。これは、「南極」や「観測隊」の詳細な解説を、ガーデンふ頭に係留されている南極観測船「ふじ」でご覧いただけるためです。特別展で南極や観測隊についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ「ふじ」の展示にも足をお運びください。水族館を含めた4施設共通チケット(名古屋海洋博物館、展望室を含む)をご利用いただくとお得です。
「ふじ」の展示室:南極について詳しく解説している
「ふじ」の展示室:南極地域観測隊についても詳しく解説している
「行動記録」の展示では、私の南極での行動を時系列で紹介しています。ただし、これだけを見るとイベントが多く、あまり仕事をしていないように見えるかもしれません。
実際は、天気が良い日はほぼ毎日海氷上に出て、「海氷に穴を開ける作業」、「採水」、「環境調査」、「魚類採集」、「プランクトン採集」、「魚類の行動調査」などの観測活動を行っていました。
悪天候の日は、観測の準備や得られたデータの整理などで忙しく過ごしていました。これらすべてを記載すると内容が過密になってしまうため、初回だけの記載に留めています。また、他の隊員たちの観測活動も同時に行われていましたが、それを含めると膨大な量になりますので割愛しています。
観測隊の詳細な活動は、「観測隊ブログ」で紹介されています。現在は第66次隊のブログが掲載されていますが、私が参加した第65次隊の活動も過去の記事でご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。
展示会場で特に注目していただきたいのが、壁面に映し出される写真(右側)と動画(左側)です。これらは南極での風景や気象、動物たちの様子を撮影したもので、他の隊員が撮影したものも含まれています。特に越冬隊員が撮影した映像は、夏隊として参加した私には経験できなかった貴重な瞬間が映されており、大変感動的です。
2階エントランス壁面の映像:右が静止画スライドショー、左は動画の展示
このような背景を思い描きながら、南館エントランスの展示をお楽しみいただければ幸いです。
飼育展示第一課 松田乾