羅臼に行ってきました!〜その4〜
こんにちは!
〜その1〜
〜その2〜
〜その3〜に引き続き
シャチ担当の宮嶋です。
このシリーズ?のブログはシャチの担当であるわたしが
北海道の知床、羅臼に行ってきた!という
いつもの飼育員ブログとは違ったテイストでお送りします。
5つの黒い彗星が走り去っていった後
しばらく静寂な時間が訪れました。
船は港を出港し、ひたすらまっすぐ
北方領土、国後島に向かって垂直に進みます。
船の後方から港を望む…
海には目には見えない線(日露中間線)があるので
その少し手前で進路を変更します。
進路を変更したあとは知床半島と国後島の中間ラインに沿って
知床岬の方へと進んでいきます。
知床連山
国後島
ゆっくりと進みながらみんなそれぞれ思い思いの方角に双眼鏡を向けます。
ときどき
「ブロー!(※噴気のこと)マッコウ(クジラ)かな?」と
ガイドさんが見つけてくださるのですが
「えっ、どこですか!?」と教えてもらいに行くと
「あのあたり!」と指を刺す先は薄霞のかかる国後島。
ガイドさんは
「あそこに見える大きめの山のひと山、ふた山の、
ちょっと低くなってるギザギザしたところの左!」
と、かなり具体的に、そして的確に教えてくださるのですが
揺れる船内、さらに双眼鏡でピンポイントに絞られた視界のなかで
えーっとえーっと、あれがひと山目で、だからその隣の、、としているうちに
どこかに消えてしまうということがほとんどでした。
そんなチャンスを何度か逃したのち
それでもどうにか見つけ、
望遠レンズを最大限に活用して撮影したのがこのマッコウクジラです。
写真には写っていませんが、斜め前方(写真では左上方向)に向かって
大きくあがる噴気が遠くからでもその身体の大きさを感じさせてくれました。
(遠くからブローだけでこの姿を見つけられるガイドさんはすごいです!)
平たく見えていたものが“お山”のようになり
(尾びれの付け根が見えています。)
ぐっっっと尾びれが垂直に!
音もなく海に消えていきました。
マッコウに沸き立った船内の興奮も冷めきり
朝7時前に出港し、気づけば14時になるかというところ
「居たー!10時の方向!」とガイドさん
主語が無くともその声色で、居たのはシャチなのだと
船内が一気に色めき立ち、一斉にその方角に双眼鏡を向けます。
船も速度を上げて突き進んでいきます。
ガイドさんが「居た」と声を上げたときには
どんなに双眼鏡の中で目を凝らしても見つけられなかったのが
あと3マイル!あと2マイル!と距離が近くなっていくと
あ!と自分の双眼鏡の中でも見つけることができました。
(※船からの方角は時間を使って、距離はマイルで表現されていました。
12時が進行方向で、10時は左に60°ずれた方向です。
1マイルは1海里ともいい、1海里は1,852mです。)
背びれがおっきい!
船に乗り、最初に見たのはオスのシャチでした。
(望遠レンズを使ってこのサイズです!)
「これ以上は行けないねぇ」
目には見えない中間線…
ある程度行ったところで船は移動を止め
シャチが中間線を越えて日本の方に入ってくるのを待ちました。
シャチの身体の向きで移動するだろうという方角を予想します。
「こっちのほう向いたね!」
そのときがチャンスなのでした。
移動するシャチが通過するだろうと見られるあたりまで船を移動し、
そこで待っているとどんどんとシャチが近づいてきました。
このシャチは移動を止めることはなく、過ぎ去って行きましたが
立派な背びれを観察することができました。
幸運なことに、ここからはたくさんのチャンスに恵まれました。
シャチが出現すると船でその方向へ向かい、遠くから双眼鏡で様子を見て待機します。
そのまま国後島の方へ泳いで消えて行ってしまうこともありましたが
このあと2つの群れが日本の方に泳いできて、様々な姿を見せてくれました。
顔を水面に上げて周囲を見渡すようなスパイホップに
ブリーチングも観察することができました!
ある1頭が胸びれや尾びれを水面に打ち付けると
他の誰かが呼応するように同じことをする…といった行動も見られ
彼らのコミュニケーションを垣間見たように感じました!
そんな大興奮の、夢のような時間はあっという間に過ぎ去り
心ここにあらず、どこかうわの空のような状態で帰港したのでした。
ここで〜その4〜は終了です。
余談ですが、この日は前日の時化の影響がまだ残っていたのか
午後から(もしくは沖の方に出てから?)かなり船が揺れ
よろけてしまわないようにひたすら足腰を使ってバランスをとり続ける一日でした。
引き続き
〜その5〜にもお付き合いいただけると嬉しいです。
〈おまけ〉
夕飯にはホッケフライバーガー
(船上でのバランス運動でお腹がペコペコだったので
港の近くにある道の駅に立ち寄ってしまいました。)と
ホタテとホッキ貝をおいしくいただきました♡