©2024 All Rights Reserved. Nagoya Port Foundation

スタッフコラム COLUMN

2023.05.21 無脊椎動物

ドフラインクラゲの繁殖

もうすっかり春…を通り越して夏を感じさせるような気候となりつつありますね(;’∀’)
今年の春も名古屋港水族館の目の前のガーデン埠頭には様々なクラゲがやってきました。
ミズクラゲ、アカクラゲ、オワンクラゲ、カミクラゲ、そしてドフラインクラゲ…

ドフラインクラゲといえば、昨年のスタッフブログ「名古屋港のジェリーフィッシュレイク」を覚えていらっしゃいますでしょうか?
実はあのブログには続きがあり、ガーデン埠頭にやってきたドフラインクラゲから採卵し、ポリプ(クラゲを生む元となる段階)を得ることができていたのです。

この写真がドフラインクラゲのポリプです。本来ならば海中の岩などに貼り付いて成長するのですが、水族館ではシャーレに貼り付かせて観察し易くしています。早くクラゲが生まれて来ないかなあ…

 

しかーし!これはクラゲあるあるなのですが、たとえポリプが得られたとしてもそう簡単にはクラゲは生まれない(>_<)。一年前に採卵し、それから一か月後にはポリプになったとは言うものの…水温を変えてみたり、ブクブク空気を送って水をかきまわしても…うんともすんとも…ポリプからクラゲは生まれませんでした(;_;)

 

ですが、先日、いつものように餌を与えた後に顕微鏡でポリプの様子を見ると…

ん!?ポリプの側面になんかある!これこそクラゲになる元、「クラゲ芽」ではありませんか‼

おそらくポリプを管理していた水槽の水温が、クーラーの不調でやや上昇気味になっていた時期があり、どうやらそれが刺激となったようでポリプに変化が!

 

さらにそれから一週間後、ポリプを飼育している容器内に肉眼でやっと見えるちいさい浮遊物が一つ…

(なんか浮いてるわぁ。ゴミかな。まさかこれがクラゲやったりして。まさかねぇ~)

と思いつつ顕微鏡で浮遊物を見てみると

「クラゲやん‼」

その大きさ0.04mmほど。ポリプから遊離したてのクラゲは触手も目立たず、時には触手を傘の内側にしまい込んでしまっており、肉眼ではただの点にしか見えませんでした。捨てなくて本当によかったぁぁ(゚Д゚;)

 

その後は順調に成長し、肉眼でもクラゲだと認識できるようになった稚クラゲは、くらげなごりうむのクラゲラボのコーナーで展示しております。

※こちらは1.8mmほどに成長したクラゲを上から顕微鏡で見たところ。ドフラインクラゲ特有の十字の生殖腺が目立ちます。

大きくなったとはいえど、まだ目を凝らさないと見えないドフラインクラゲを是非ご覧ください(^^)