2022.08.07 イルカ
イルカに隠されたVの秘密
みなさんは「イルカの泳ぎ方」をテーマに解説している、今年の夏のイルカパフォーマンスをもうご覧になりましたか?
ここでは、パフォーマンスの時間だけでは語りたくとも語り切れなかった、けど語りたいこと紹介しています。
さて、私は上級編というこうとで、よりマニアックな内容に踏み込んでいきたいと思います。
→浅井トレーナーの初級編
→加古トレーナーの中級編
まずはこの骨をご覧ください。
これは「V字骨」といい、イルカやクジラで発達している骨です。形がアルファベットのVに似ていることからそう呼ばれています。
V字骨は、尻尾の骨である尾椎骨の下に位置しています。
黄色の矢印で示した部分がV字骨です。
実はこのV字骨はイルカやクジラ特有の骨、というわけではありません。
多くの陸上動物が持つ骨なのですが、特に発達しているのはカンガルーや恐竜といった、尻尾の力が強い動物たちです。
強く大きな筋肉を持つためにはそれを支える骨が必要です。V字骨は、尻尾の強力な筋肉を支える役目を担っているのです。
さて、ここでイルカは身体のどこを使って泳いでいるのか思い出してみてください。
進化の過程で後足が退化したイルカの主な推進力は“尻尾(尾びれ)の上下運動”です。
水中を素早く泳げる秘密は、この発達したV字骨にあるとも言えますね。
名古屋港水族館には様々なイルカ、クジラの骨が展示してあります。種ごとにV字骨の大きさや数が違うので、ぜひ見比べてみてください。
特に、進化の海コーナーに展示してあるイルカの祖先の化石は必見です。
はたしてV字骨はいつ、どのような進化と共に大きく発達したのでしょうか?
ぜひ、太古の海に想像を巡らせながらご覧ください。