「ドゥルー女史記念祭」に行ってきました。 その2
その1https://nagoyaaqua.jp/study/column/29728/ の続き
少し遅れるかと思いましたが、カーナビで「住吉漁業協同組合」を設定したところ、すぐ近くに所在していることが分かり、開始時刻の10時より少し前に組合事務所へ到着しました。
会場は組合事務所に併設された集会施設のような建物で、すでに多くの関係者(約120名)が集まっており、まさに式典が始まるところでした。神事とのことでしたので、会場内への立ち入りは控え、開放されている扉の外から見学させていただきました。
先ほど見学した記念碑は、1963年(昭和38年)4月14日に建立・除幕され、翌年から同日に「ドゥルー女史記念祭」として顕彰が始まり、今年で63回目を迎えます。祭壇の後方には日本と、ドリュー博士の母国であるイギリスの国旗が掲げられ、祭壇には博士の写真が飾られていました。
撮影した写真を拡大して確認すると、祭壇の写真には帽子がかぶせられ、着物のようなものまで着せられていました。不思議に思い調べてみたところ、この帽子と着物(ガウン)は、ドリュー博士が母校マンチェスター大学から理学博士の学位を授与された際のもので、記念碑除幕式に臨席した夫のライト・ベーカー氏が関係者に提供したものとのことでした。ドリュー博士は、自身の発見が日本の養殖に貢献したことから来日を望んでいましたが、残念ながら1957年(昭和32年)、56歳で逝去されています。
式典では、神職による祝詞奏上、漁業関係者による玉串拝礼、祝辞などが執り行われました。祝辞の中では、近年の高水温や栄養塩不足といった環境変化に関する話が特に印象に残りました。式典は約40分で終了し、組合職員の方にお礼を申し上げるとともに、本スタッフコラムへの掲載許可をいただき、会場を後にしました。
式典は、事前に組合事務所へ電話した際に説明を受けていたとおり、まさに「神事」でした。ドリュー博士の功績は水産業界では広く知られていますが、一般には海苔を日常的に口にしていても、その名を知る人は多くないのではないでしょうか。しかし、この地(熊本県宇土市)ではドリュー博士は身近な存在のようで、熊本県立宇土高等学校では、生徒たちが海苔を使ったパウンドケーキを「ドリューさんのおやつ」という名前で開発しているそうです。
https://uto-sh.com/notices-and-events/738-2024-07-20-02-10-37.html
近くの有明海に面した住吉海岸公園には、インスタ映えする絶景スポットとして有名な長部田海床路(漁業従事者のため、干潟に作られた約1kmのコンクリート製の道路。満潮時には水没)があるようなので、雨模様でしたがちょうど干潮時で道路が出ていたので先端まで歩いてから次の目的地の熊本城に向かいました。
国内には多くの水族館がありますが、飼育生物として海苔(アマノリ類)を展示してきた飼育係は多くないと思います。私もその一人として、海苔には今でも特別な思い入れがあります。今回は、新人飼育係として奮闘していた頃を思い出す旅となりました。
最後に、式典の見学をご快諾いただいた熊本県宇土市の住吉漁業協同組合の皆様に、心より感謝申し上げます。
飼育展示部 春日井 隆