2026.09.18 無脊椎動物
秘めたパワーを持っています
わたくし、先日、お引っ越してから1年が経ったということで、お部屋の雰囲気をがらりと変えるべく心機一転、模様替えをしたところです⭐
なぜいきなりこんなお話をしたかというと、今回はそんな*お引越し*にまつわる生きものをご紹介いたします♪
まずはこちらの写真をご覧ください👇
こちらは南館の深海コーナーに展示されている生きものです。一見、何ら変わりのないイソギンチャクの様に見えますが、、、
あれ⁇ なにやらもぞもぞと動き出しました(・□・;)
…ん(・・?) ヤドカリ…?と思った方 !(^ ^)!
そうなんです、このイソギンチャクの裏側にはヤドカリがいるのです👆
先ほどもぞもぞと動き出したのはヤドカリが動いたからなのです!
こっち向いてーー!と待っていると‥(^_^)
はーい✌と姿を現してくれました!
お待たせいたしました^^;
こちらが『ジンゴロウヤドカリ』です!
ですが今回、より皆様に注目していただきたいのは、ジンゴロウヤドカリが棲む巻貝に付着して生活するイソギンチャク!「ヒメキンカライソギンチャク」です!
ヒメキンカライソギンチャクは足盤部分(貝にくっついている部分)からタンパク質などの物質を分泌しています。その分泌液には、なんと!ヤドカリの棲む貝殻を大きくする働きがあります!ヤドカリといえば体の成長に合わせてお引越しすることで有名ですが、ヒメキンカライソギンチャクのおかげで、ジンゴロウヤドカリはなんと‼お引越ししなくても、住処である貝殻が窮屈になることなく生活することができるのです。ちょうどいい貝殻を探すことも引っ越しも必要ない!というわけなのです(^O^)
ヒメキンカライソギンチャクの学名は“Stylobates calcifer”。ヤドカリの貝殻=“宿”を増築する、すなわち“ヤドカリの城を作る”イソギンチャクということで、あの有名なアニメーション映画に登場する“火の悪魔”にちなんで種小名が「カルシファー」と命名されています🔥
海洋生物種の世界登録簿(WoRMS)で2022年に【注目すべき海洋生物の新種トップ10】に選ばれるほどすごいパワーをもったイソギンチャクだったのです☆
ここでジンゴロウヤドカリとヒメキンカライソギンチャクが一緒に生活している理由を考えてみましょう。ヤドカリにとっては、住処を大きくしてもらえる上に、イソギンチャクが持つ毒針を利用して外敵から身を守ることが出来ます。またイソギンチャクにとっては自力で移動する必要がなく、ヤドカリの食べかすを手に入れることもできます。どちらにもメリットがあって一緒に生活しているのです。これを専門用語では【相利共生】といいます。
👇こちらはジンゴロウヤドカリが餌を食べている様子です^∇^ ヤドカリに餌を与えようとする際に、イソギンチャクに餌をとられてしまうことも多々あります^^;
数少ないジンゴロウヤドカリの引っ越しの際には、ジンゴロウヤドカリがヒメキンカライソギンチャクを新しい貝殻に移し替える行動も確認されているようです。両者の結びつきの強さを感じます。
ちなみに、私が初めて彼らを見たときはそんなこととも知らず、かわいく着飾っておしゃれさんなんだなぁ♩なんてのんきなことを思っていました^_^;;
今回ご紹介したジンゴロウヤドカリとヒメキンカライソギンチャクは南館の深海コーナーで展示しています。なぜか背中(イソギンチャク側)を皆様に向けていることが多く、なかなかヤドカリのお顔が見えないかもしれませんが、「あ、イソギンチャクかー」と素通りせず、実はすごい力を持ったイソギンチャクであり、その裏にはジンゴロウヤドカリがいることを是非感じてください👀🌟
飼育展示第一課 井田 乃々夏