©2024 All Rights Reserved. Nagoya Port Foundation

スタッフコラム COLUMN

2024.03.22 シャチ

日々の努力の積み重ね

以前からブログで紹介してきたアースの認知研究ですが…

認知研究を行っている様子

過去の記事;
■2021.04.13 どっちだ~?
■2022.10.04 プールの奥には…?

この度、その内容が論文になりました!!!(拍手―!!ぱちぱちー!!)
今回はアースがこつこつ取り組んできた過程が論文になりました。

英題:
Matching-to-Sample Task Training of a Killer Whale (Orcinus orca)

邦題:
シャチを対象とした見本合わせ課題の訓練

要約:
今回の研究では、アースに対して「見本合わせ」という課題の訓練を行いました。見本合わせ課題とは、最初に「見本」を見せて、その後に見せた二つの選択肢の中から、「見本」と同じものを選ぶことができれば正解、という課題です。アースに対して水中の窓越しに色々なものを見せて、正解だと思う方を顔の先端でタッチしてもらい、正解か不正解かを目で確認して記録しました。訓練では、まずアースが水族館で日常的に見たことのある、トレーナーの長靴やダイバーの足ヒレなどの実際の物を使用して、見本合わせ課題のルールを覚えてもらいました。その後は、実物を平面の写真に変え、最終的にはモニターの中に表示した画像に対しても、この見本合わせ課題を行うことができるようになりました。今後は、このモニターを使用した見本合わせ課題を通して、シャチがどのように視覚情報の認識を行っているのかについて調べていく予定です。

Ayumu Santa, Koji Kanda, Tomoya Kako, Momoko Miyajima, and Ikuma Adachi. 2024.
Matching-to-Sample Task Training of a Killer Whale (Orcinus orca). Animals. 14(6): 821.

論文はどなたでも読むことができます。英語ですが、興味のある方はぜひご覧ください。

アースがモニターを使って見本合わせができるようになるまでには、実は結構時間がかかっています。これは研究者の三田さん、アース、トレーナー達の日々の努力の結晶です!
今はモニターを使って様々な課題に取り組んでいます。今後の成果にもご期待ください!

(名古屋港水族館では、京都大学ヒト行動進化研究センターと共同でシャチの比較認知科学研究を行っています。)

飼育展示第二課 加古智哉