名古屋港水族館で育てたアカウミガメを用いた放流調査の結果が論文に掲載されました
名古屋港水族館では絶滅の危機に瀕しているアカウミガメの保全を目的とした調査・研究に取り組み、現在は海外の研究機関と共同で地球温暖化に伴う海洋環境の変化とアカウミガメの回遊生態の関連性に関する調査を行っています。
今回、2024年に調査のために放流したアカウミガメを人工衛星で追跡した結果、これまで確認されていなかった北方海域への回遊が初めて確認されたという内容の論文が学術誌に掲載されました。
論文タイトル
Promise or peril in a warming ocean? An emergent pathway leads North Pacific loggerhead sea turtles into the northern California Current System
温暖化する海は希望か、それとも脅威か?新たに出現した移動経路が、北太平洋のアカウミガメをカリフォルニア海流系北部へと導いている。
著者
Dana K. Briscoe, Larry B. Crowder, George H. Balazs, Jeffrey A. Seminoff, F. Alberto Abreu-Grobois, Philippe Gaspar, Catherine A. Lee Hing, Laura Jim, Masanori Kurita, Masanori Mori, Denise M. Parker, Marc R. Rice, Tomomi Saito, Bianca S. Santos, Julien Temple-Boyer, Calandra N. Turner Tomaszewicz, Noah Yamaguchi and Jeffrey J. Polovina
下線太字が名古屋港水族館((公財)名古屋みなと振興財団)職員
※スタンフォード大学、カリフォルニア大学、Golden Honu Services of Oceania、米国海洋大気庁(NOAA)、メキシコ国立自治大学、メルカトル・オーシャン・インターナショナル、Hawaii Preparatory Academy、高知大学、ハワイ大学との共同研究
掲載誌
Frontiers in Marine Science, 13: 1733784.
https://doi.org/10.3389/fmars.2026.1733784
論文概要
名古屋港水族館で育成した2歳のアカウミガメを用いた放流調査において、2024年に放流した28頭のうち4頭がこれまで知られていた分布域から北へ逸脱し、寒流であるカリフォルニア海流の影響を受ける海域へ回遊したことが判明しました。これは本来は暖かい海域を回遊するアカウミガメの北方海域への回遊が確認された初めての事例です。栄養が豊富な北方海域はエサとなる生物も多い反面、低水温に晒されて衰弱したり死亡するリスクが高まります。今後、地球温暖化の影響でアカウミガメの北方海域への回遊が増加する可能性があり、絶滅危惧種である本種の保全計画への影響がでることが懸念されます。

サテライトタグを装着したアカウミガメ(2歳齢)

船の上からサテライトタグを装着したアカウミガメを放流している様子




