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2025.04.19

ウミガメの換気能力に関する論文が掲載されました

名古屋港水族館で飼育しているウミガメを用いて実験を行った換気能力に関する共同研究結果が学術誌に掲載されました。

 

論文タイトル

Respiratory flow and tidal volume scale with body mass in sea turtles but not breath duration

(ウミガメの呼吸特性における体重との関係:換気量は比例し、呼吸時間は比例しない)

 

著者

Kino Sakai, Tomoko Narazaki, Masanori Mori, Tomomi Matsumoto, Kagari Aoki, Andreas Fahlman, Kentaro Q. Sakamoto

※下線太字が名古屋港水族館((公財)名古屋みなと振興財団)職員

※東京大学、名城大学、帝京科学大学、Fundación Oceanogràfic(スペイン)、Global Diving Research(スペイン)、リンショーピング大学(スウェーデン)との共同研究

 

掲載誌

Comparative Biochemistry and Physiology, Part A 305 (2025) 111855

https://doi.org/10.1016/j.cbpa.2025.111855

 

 

論文概要

水中で暮らすウミガメの潜水能力を左右する換気能力について、ウミガメの体の大きさに対する比例関係を調べることを目的とし、大小さまざまな大きさの3種類のウミガメ(アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ 体重0.7~120.6kg)を対象に、陸上と水中において呼吸流速、換気量、呼吸時間を測定しました。

その結果、換気能力は陸上と水中で差が見られませんでした。呼吸流速および換気量は、それぞれアロメトリー指数0.76〜0.80および0.87〜0.89で体重とともに増加した一方で、呼吸の持続時間および換気量と肺の最大容量の比率は一定でした。

これはウミガメが呼吸の持続時間を延ばすのではなく、体重の増加に伴って呼吸流速を増やすことで一回の換気量を高めていることを示唆しており、それによって水面での呼吸にかける時間を短縮できる可能性があると言えるものです。

 

アカウミガメ

 

タイマイ

 

アオウミガメ