ニュース
2025.10.24
バンドウイルカとジェンツーペンギンで行った研究による2報の論文が米国の学術雑誌Zoo Biology(early view)に掲載されました
①
| 論文タイトル | Increasing Intermammary Distance During Estrus in Bottlenose Dolphins (Tursiops truncatus)
バンドウイルカにおける発情時の乳裂間隔の拡大 |
| 著者 | Yuki Oshima, Tomoko Mori, Koji Kanda
下線太字が名古屋港水族館((公財)名古屋みなと振興財団)職員 |
| 掲載誌 | Zoo Biology(early view) |
| 論文概要 | 本研究はメスのバンドウイルカにおいて左右の乳裂の間隔を毎日測定し、発情行動の有無、卵胞の直径、血中ホルモン濃度から推定した発情日と非発情日における値を比較しました。その結果、バンドウイルカの乳裂間隔は非発情日と比べて、発情日に拡大することが分かりました。これは、他の一部の哺乳類でみられるように、発情時にバンドウイルカの外部生殖器が形態的に変化する可能性を示唆しています。また、非侵襲的な方法でバンドウイルカの発情をモニタリングできる可能性を示した点で有用です。 |
②
| 論文タイトル | Detection of Extra‐Pair Paternity in Captive Gentoo Penguins Using Genetic Analysis
飼育下ジェンツーペンギンの遺伝学的解析を用いたつがい外父性の検出 |
| 著者 | Sora Shimura, Yosuke Zaitsu, Ryo Tadano
下線太字が名古屋港水族館((公財)名古屋みなと振興財団)職員 ※岐阜大学応用生物科学部との共同研究 |
| 掲載誌 | Zoo Biology(early view) |
| 論文概要 | ペンギンは一般的に一夫一妻制とされていますが、DNA解析の進歩によって、雌がつがいではない他の雄と交尾し、子を残す「つがい外父性」が複数のペンギン種で確認されています。特にジェンツーペンギンでは、約48%と高い割合でつがい外父性が生じていることが報告されています。国内の動物園や水族館では、抱卵や育雛などの行動観察によってつがいを判定し、そのペアをもとに血統管理が行われてきました。もし飼育下でも野生と同様につがい外父性が起きている場合、血統登録簿の見直しが必要になります。そこで本研究では、飼育下のジェンツーペンギン200組の親子関係をDNA解析によって調べました。その結果、3例(1.5%)で観察上の父親と遺伝的父親が異なっていることが明らかになりました。つがい外父性は飼育下では野生より少ないものの、遺伝解析が血統管理の正確性向上に有効であることが示されました。 |




