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2026.03.26

鯨類における呼吸器内の感染と炎症反応の評価方法を調べる研究が国際学術誌に掲載されました

名古屋港水族館のイルカ、ベルーガを対象とした研究結果が学術誌に掲載されました。

 

論文タイトル

Neutrophil differentials in bronchoalveolar lavage fluid in bottlenose dolphins (Tursiops truncatus) and beluga whales (Delphinapterus leucas) during treatment of respiratory infection: a preliminary study

 

筆者

Takashi Kamio, Yukako Odani, Koji Kanda, Tomoko Mori, Yuichiro Akune, Wataru Ohtomo, Masanori Kurita,·Ayaka Okada,·Yasuo Inoshima

下線太字が名古屋港水族館((公財)名古屋みなと振興財団)職員 ※岐阜大学との共同研究です。

 

掲載誌

Veterinary Research Communications, Volume 50, article number 163.

https://doi.org/10.1007/s11259-026-11112-8

 

論文概要

野生および飼育下の鯨類では、呼吸器の感染症が重要な健康問題となっています。しかし、肺など下部呼吸器の炎症を正確に評価する方法はあまり確立されていません。

本研究では、呼吸器感染症の治療を受けている個体を含む、飼育下のバンドウイルカとベルーガをそれぞれ3頭ずつ対象に、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の好中球の割合が診断に役立つかどうかを調べました。感染の有無は、BALFから検出された細菌や真菌によって判断し、炎症の程度はBALF中の好中球の割合と、血液中の指標(白血球数、フィブリノーゲン、血清鉄)から評価しました。

その結果、呼吸器の感染のみが見られた個体では、BALF中の好中球の割合と血液中の炎症指標はいずれも高くなり、治療後にはどちらも改善しました。一方で、他の病気を併せ持つ個体では、治療によってBALF中の好中球の割合は低下したものの、血液の炎症指標は高いままでした。また、呼気から検出された微生物は、BALFの結果と一致しない場合もありました。

これらの結果から、BALFの検査は血液検査よりも肺の局所的な感染をより正確に反映する可能性があり、鯨類の下部呼吸器感染の診断に役立つと考えられました。